Google Apps Marketplaceのよくある勘違い

Google Apps Marketplaceは、今年3月にGoogleが発表したGoogle Apps向けのアプリケーションやサービスを販売するサイトだ。
アプリケーションをクリックひとつで自社ドメインGoogle Appsへインストール・統合することができ、今後のサービス販売の場としても注目するべきサイトのひとつであろう。

Google Apps Marketplaceのよくある勘違いとして、「Google Appsに統合されるわけだからGoogle Apps Engineで開発する必要がある。」というのがある。(私もはじめはそう勘違いしていた・・)

結論から言えば「Google Apps Engineである必要は全くない」のである。それどころか、サイトを検索するとGoogle Appsとは一見関係のないようなものから、インストール代行などアプリケーションではないものも売り出されている。(関連サービスということなのだろう)

Googleドキュメントによれば、Marketplaceに登録するには以下の要件を満たしてくれとある。

  1. OpenIDによるシングルサインオンを実装してください。
  2. アプリケーションマニフェストを書いてください。
  3. ユニバーサルナビゲーション(Google Appsのページ一番上にあるメニュー)をつけてください(どうやらオプションのようだ)
  4. Google Appsのメールやカレンダーと連携する場合はGoogleDataAPIを使ってください。

以上である。

3と4はオプションなので実際は1と2が必須項目である。
言い換えれば「自社のサービスにOpenIDを実装すれば、すぐにMarketplaceに出展できる」のである。
もちろん、OpenIDの実装のほかにもマニフェストで設定するページやそのたGoogle Appsとの連携などに若干の開発は必要であろう。

要は、すでにユーザーに提供しているASPやサービスがあれば、ある程度の開発だけでMarketplaceに出展できるということだ。


わかりやすい例として、ZoHoがある。
SOHO向けの機能(本当にたくさんある)をクラウドで提供する会社だが、彼らのサービスはMarketplaceでも販売されている。彼らは既にあるサービスをOpenID化して、Marketplaceに提供しているのだ。試してみると(無料版もある)、認証や管理はGoogle Appsと連動しているが、実際のサイトでは彼らのもともとのサービスと全く代わりがない。(それはそれでGoogle Appsとの連動が薄いと評価されているが)

整理すると以下のようになる。

Google Apps Marketplace

  • Googleが決済代行をするGoogle Appsユーザー向けのアプリケーション及び付帯サービスのコマースサービス。
  • 認証の連動など、いくつかの条件がクリアできれば、稼動要件などは問わない。
  • 提供するサービスはアプリケーションである必要もない。

Google Apps Engine

  • Googleのインフラを使って、伸縮性のあるWebアプリケーションを開発できる。
  • 独自ドメインでサービスを提供

ここまで書くとお分かりだろうが、Google Apps Engineで開発したアプリはMarketplaceですぐ使えるというものではなく、あくまで「自社ドメインで稼動するWebアプリをGoogleのインフラで作った」という位置づけである。
Marketplaceとはあまり関係ないというか、むしろ別のサービスと考えたほうがすっきりする。

Google Apps Engineは独自ドメインSSLが不可(いろいろと組み合わせれば回避可能だが)だったり、メール送信や外部のURLアクセスに件数制限(有料設定でコントロール)があるなど、サンドボックス的な制約も多い。しかしながら、数百万ユーザーのアクセスでも耐えるであろうGoogleのインフラを考えれば非常に魅力的だ。
専用サーバーなどを自由にカスタマイズして作るWebアプリも魅力だが、ユーザーの増加が読めないコンシューマー向けのサービス等では、拡大に伴うコストは非常に高くなる。そういう場合の選択肢としてGoogle Appsなのだと考える。(過去にサービスを立ち上げる前から「100万ユーザーでも耐えられるようにつくってくれ」と頼まれたことがある。まだサーバー2台で稼動しているが・・)逆に言えばアクセスや用途が限定されているのであれば専用サーバーのほうが有利なケースも多い。

実際の落としどころで言えば、「用途や内容によってGAE、AWS、専用サーバーを組み合わせて実装する」というところであろう。(言語の選定やライブラリ・フレームワーク等は非常に悩ましいところだが)


P.S. AMAZONでもメールの送信数には制限があるようですね。やっぱりそうだよね(笑)